ゲーオタ人生論

え?ゲームは人生じゃないんですか?

【FE風花雪月考察】「闇に蠢く者」の正体

この記事は、風花雪月の全4ルートと煤闇の章のネタバレを大いに含みます。クリアしていない人は今すぐブラウザバックをお願いします。また、疑問や質問等がございましたら、是非コメントにお寄せください。

 

 

 

 

 

 

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ファイアーエムブレム風花雪月、本ッ当に面白いですよね。( クソデカフォント )

いや〜面白い。自身のファイアーエムブレム歴は、スマブラforルフレルキナ参戦ムービーに釣られて覚醒を買って始めた程度のめちゃくちゃニワカなんですけどね。ゲームのシステムはとても楽しめたのですが、覚醒の結婚システムに「プレイヤーの選択次第で人体錬成(子作り)に対する責任を担わなければならないのか……」と発狂してしまい、その子作りシステムの継承でifの購入は見送ってしまった程度の、ファイアーエムブレムシリーズそのものへの愛着は薄い人間です。

 

そんな自分が、新作の風花雪月に手を出したのは「ストーリーに絶対的な救いが無い」という噂を聞いたためです。ファミ通の開発者インタビューでも「大団円ルートがあると、どうしてもそのルートが正解になってしまうから(中略)企画当初から入れるつもりはありませんでした」とはっきり明言されているように、ファイアーエムブレム風花雪月は、どのルートも等しくあり得る世界の話で、しかもそれを「プレイヤーの選択次第で決められてしまう」という自己選択における責任が付き纏うゲームである。誰かは救えるけど、みんなは救えない。そのやり切れなさがどこか現実臭くて、世界は無情である。

それは、風花雪月というタイトルからも顕著で、の章(金鹿√)、紅の章(黒鷲√)、銀の章(セイロス教団√)、蒼の章(青獅子√)という章タイトルに埋め込まれているように、風も花も雪も月も自然の事物で、生命のそのもの意志は無く、人間の力ではどうにも変えられないものです。(よく風花雪月と同じ意味と似た語感として間違えられる、「花鳥風月」という有名な言葉がつけられなかったのは、鳥では生命を意味し、人間が使役できてしまうためなのかもしれません)

個人的には、煤闇の章の「卒業式」にユーリスとハピが言っていたセリフが、ゲームの主題であるように感じています。

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人間の意思の介入ができない風花雪月が去りゆく「優しくない世界」「助け合って生きていくしぶとく、強かな人間」を描いた話なのではないでしょうか。

煤闇の章はこのように、他ルートではぼんやりと描いていた希望をはっきりとキャラクターが明言して終わりますし、本編では恐らくアルファルドが〇〇〇〇の〇〇を発見しなかったことになってるっぽいので、煤闇の章で描かれた希望が他の風花雪月ルートの虚しさをより助長しているようで個人的にはたまりませんでした。

風花雪月はサイコーの虚無ゲー。

 

さて、そんな風花雪月は良い意味での虚無ゲーで、どの人間にもそれぞれ譲れない正義があるからこそ、プレイ中内心こっそり思っていました。

「せっかくだし先生が闇に蠢く者について、生徒も教団も全員皆殺しするルートもやってみたい」

……え、思いませんでした? フェリクスを黒鷲で引き抜いて幼馴染と実父を殺させるプレイングをした人間なら少しは思いましたよね?

皆殺ししたいかどうかはともかく、全ルート通して敵として対峙した「闇に蠢く者(アガルタ)」陣営に寄り添った描写がどこにも無かったのは事実です。

紅花の章でラスボスとして対峙したレアともちゃんと支援会話が存在するし、銀雪の章では支援Sまでいけますからね。エーデルガルトもどちらかと言うと倒されるべきラスボスとしてイメージされたキャラクターであり、彼女とも支援会話と支援Sが存在している時点で、ある種、風花雪月は「ラスボスにも寄り添えるよ!」というゲームなのだと思います。

だからって、ソロンやタレスと支援Sが欲しかった〜という駄々を捏ねたいわけではないんですけど、彼らの動機、闇魔法、シャンバラなどの存在については謎に包まれたままのものが多い。

煤闇の章もアビス(=深淵)という名前をつけられているおかげで「これは闇蠢共闘皆殺しルート!?、!?!」と、期待した人は多かったのではないかと思います。自分もその一人でしたが、煤闇のストーリーでは灰狼の学級のメンツとセイロス教団側の掘り下げがメインに据えられ、寧ろ銀雪の章をやり直したくなったのではないでしょうか。

闇に蠢く者については投げっぱなしで、このまま謎のままか〜と若干の落胆を覚えて煤闇の章を終えた……そんなプレイヤーにどうしても伝えたいことがあって、この記事を書きました。

 

「煤闇の章をクリアした人間、今すぐ第二部のデータにてアビスにいる顔役に名声値6000ptを与え、『書庫を整理する』を解放してクエストをクリアして、アビス書庫の書物を全部読め」

 

※ここから先が核心のネタバレになります。閲覧は自己責任でお願いします。このじわじわとした恐怖と感動は、ぜひゲームで味わってほしい。よろしくお願いします。

 

 

 

 

ここからはアビス書庫の書物と全ルートの話を交えて話していきます。

 

ゲーム内で、闇に蠢く者(アガルタ)の正体の掘り下げがなかったのは「する必要などなかったから」というのが、この記事で提唱する考察です。

つまり、闇に蠢く者の正体とは「我々現代人のような科学を有するホモ・サピエンスのような者であり、「わざわざその技術の背景や原理を説明しなくともプレイヤー自身が最も慣れ親しんでいてわかるため」ではないか、というメタフィクションを交えた存在である可能性を提唱します。

 

 

かつて使われていた「月」という暦

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現行のフォドラの暦は「節」であり、フォドラの人々は節という区分を疑問なく自然に受け入れています。

ゲーム内でも節ごとの区切りがこれと言うほど強調され、我々プレイヤーも"この世界では暦は節と設定されているものだ"と理解していたはずです。

が、実はかつての暦が「月」であったことがアビス書庫の書物によって明かされます。しかも、その起源が神代に答えを求めなければならないと思われるほど古いものである、ということまで。

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この後のページで、節という暦を制定したのがアドラステア帝国初代皇帝ヴィルヘルムであり、セイロス教を広めるためだとか、アドラステア帝国の権威付けだとかの理由が、書物の中には推測で語られています。

6ページ目で「主(ソティス)の意向で暦を変えることを預言者セイロスから伝えられたヴィルヘルムが制定するに至った」とありますが、ソティスからレアに何かを伝えた、という描写が全ルートを通して薄い(本編ソティスが記憶喪失であるため勿論断定はできないが)ので、レアの独断でセイロス教を広めるためにヴィルヘルムに進言した可能性の方が高そう。(レアがセイロス教を広めるためにまるで手段を選ばないことは、この後の虫大全でも説明します)

また、これはゲーム本編ではなく、現実世界の話なのですが、古代エジプトには「ソティス暦」というものが存在しています。

紀元前2000年頃の古代エジプトの人々は、ナイル川氾濫の時期を正確に把握する必要があり、地球の公転周期に基づいて、1ヶ月を30日とする12の月と年の終わりの5日の安息日によって1年を365日と規定する太陽暦、通称「エジプト暦」を運用していました。しかし、このエジプト暦においては、実際の太陽の運行と暦のズレを補正するために現在では約4年に1度設けられる「閏年」の概念はありませんでした。その代わり、ナイル川の氾濫の時期に、日の出前の東の空に観測される恒星シリウスが東天へ出現する日を元日と定め、元日が年ごと移動していく移動年と呼ばれる暦法が取られていました。

恒星シリウスの観測とナイル川の氾濫の時期を基準とする、閏年の存在しない古代エジプトにおける太陽暦(エジプト歴)は、閏年の存在する一般的な太陽暦(現行のグレゴリオ暦等)と区別して、恒星シリウス古代エジプトにおいて豊穣の女神として神格化された名前、ソプデトのラテン語読みにあたる「ソティス暦」という名で呼ばれていたそうです。

紀元前45年から1582年まで施行されたユリウス暦、それ以降から使われている現行のグレゴリオ暦には、4年に1度の閏年(2月29日)が存在しますが、ソティス暦は等しく毎月が30日まで存在するので、2月は他の月と同等に30日まで存在し、2月29日は閏年としては存在しません。

ここで、フォドラの「節」が用いられている2月のカレンダーをそれぞれ確認してみます。

↓白雲の章

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↓蒼月の章(5年後)

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白雲の章カレンダーにだけ、2月29日が存在しています。閏年は約4年ごとであり、白雲の章と蒼月の章で5年間経過しているので、両者に2月29日が存在していないということは、フォドラの節の暦で用いられているのは、現実世界でのソティス暦ではないということが明らかです。恐らく、ユリウス暦グレゴリオ暦でしょう。(五年の経過だけではどちらかを判断することは難しい。わかる人がいたら教えてください)

ちなみに、フォドラの世界で大地球体説はまかり通っているようです(ガルグマク2F書庫の地球儀?参照)

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このフォドラが存在している惑星はそもそも地球なのか、という検証も必要ではあるのですが、太陽と地球間のような公転周期でないと、1年は365日にならないので、フォドラがあるのも地球に似たような惑星なのでしょう。流石に作中で「地球」というワードは出てきてませんし。「太陽」については日向コンスタンツェが「あの太陽が私を暗い気持ちにさせるのですわ……」と太陽を太陽だと認識するような発言をしています。

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また、ペトラアッシュ支援A +でもペトラがフォドラ語で「太陽」とはっきり口に出しています。

「月」に関しては、ヒューベルトベルナデッタ支援Cで、ヒューベルトが「月夜」と明言しています。月も月として認識されてるっぽい。

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ともかく、節という暦はアドラステア帝国の成立と共に変えられたものであり、それ以前は起源すらわからない「月」という暦を使っていたことが、この書物からは明らかになりました。

 

 

消された「科学技術」

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アビス書庫の中でも、特段異彩を放つ「フォドラの虫大全」を読んでいきます。この書物では暦どころではなく、レアが特定の科学技術を隠そうとしていた事実がありありと記されています。継ぎ接ぎされた表紙からして、いかにも怪しい。

1.望遠鏡

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レアは、まず望遠鏡のようなものを禁じていたそうです。

「敵陣の把握による戦争の激化」

「遠方からの狙撃が容易に」

確かに、望遠鏡が開発されてまもなく軍事利用された、という現実の歴史はあるのですが、この辺りはロングボウや遠距離魔法でいくらでも代替できてしまっていますね。

「天の観察による主の神秘性の減退」

恐らくこの辺がレアの本音でしょう。節の暦の制定もそうですが、レアはセイロス教の布教を物凄く重視していています。また、この文章からは「望遠鏡で観測できてしまう天の範囲内に主がいる」ということが暗に示されています。もちろん、主とはソティスのことでしょう。(主が天のどの辺りに位置するかは後述します)

 

2.石油

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石油らしきものの利用を禁じた、というだけでかなりキナ臭い内容ですね。どうしてレアは石油の使い方を知っているのだろうか……。

「誤って使用しての事故死」

「魔法を使えない者の戦略的利用」

「争奪による対立の発生」

石油が現代にもたらす恩恵は、我々の知る限りです。工場や家庭などの熱源、自動車や船舶、飛行機などの動力源、 プラスチックなどの化学製品の原料と多岐にわたって使われています。

「誤って使用しての事故死」が明らかすぎる建前だとして、「魔法が使えない者」「争奪」という理由に着目してみます。魔法が使えない人間が石油を争奪する、というのは果たしてフォドラの人間で起こる戦争を想定した発言なのでしょうか。

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これはガルグマク二階の書庫資料ですが、ダスカーのことが明記されています。ダスカーは現在クレイマン伯爵が統治している半島(外伝:弱き者の戦い参照)なので、フォドラ地図に照らし合わせると明らかに海に面しています。(青丸で囲んだところ)

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この海に面するダスカーで「珍重な鉱物」が見つかるという噂は非常に気になるところ。

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また、ドゥドゥーアッシュ支援Bでドゥドゥーが語るダスカーの特徴として「森が多い」「鍛治と漁が盛ん」というものがあります。ドゥドゥー自体も特に魚料理が得意らしく、塩の効いた料理をアッシュに対し、嬉しそうに振る舞っています。

さて、現実世界における石油の源についてですが、石油のもととなっているのは、海や湖で繁殖したプランクトンや藻などの生物体の死骸であり、それらが土砂とともに水底に堆積して岩石になる途上でケロジェンという高分子化合物が生まれ、それが熱分解したものが石油となるそうです。つまり石油の生成には、海や湖などの水辺が必須であるそうです。カスピ海黒海ペルシャ湾付近に石油産出国が多いのは、その条件を満たしているからだと考えられます。

現実の石油と、フォドラで抹消された石油っぽいものが同等の成分を有しているかはわかりませんが、現実の石油の産出地としてダスカーという土地は適しているのかもしれません。

つまり、貧しい土地ファーガスに石油王ディミトリがワンチャンあったんじゃないか……とよくわからない夢を抱いてしまいます。ファーガス神聖ドバイ……裕福になったファーガスでイングリットに美味しいものをたらふく食べさせてあげたい……。

そんなもしもの未来は置いておいて、つまり「魔法が使えない者」が「ダスカーにある石油」を「争奪」しようとした可能性があるということですね。少なくとも、ドゥドゥーらダスカーの民はおろか、ファーガス王のディミトリすら燃える液体である石油を燃料資産として活用・認識しているような様子はありませんでした。ダスカー襲撃。ダスカーの悲劇。どこかで聞いたような話だなあ(すっとぼけ)。

 

3.活版印刷

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「誤った情報や悪意のある噂が流布される危険」

「字の読めない平民にとって無益」

「教会同士の対立が悪化する恐れ」

この記述を見た途端、「レア、頭良いしめちゃくちゃ怖!!」という感想が湧いて出ました。事実、レアはツィリルに読み書きを教えていません。(ツィリルリシテア支援参照)掃除や肉体労働についてはしっかり教えているのに……。

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このレアの所業で何が怖いって現実の活版印刷発展が「宗教における教会の権威を下げた」という歴史的事実があることなんですよね。

かつて書物は、手書きによる手写本か、木版印刷が主流でしたが、1450年頃、ドイツ人のヨハネス・グーテンベルクが、金属製の活字を作り印刷するという活版印刷を完成させます。グーテンベルクは「グーテンベルク聖書」といわれる聖書を印刷、刊行します。このグーテンベルク聖書自体はあまり普及しなかったのですが、この「聖書を印刷して頒布する」という手法を最大限利用するのが、のちに宗教革命を成し遂げるルターです。

当時のキリスト教の聖書は、教会が所有することが一般的であり、信者はその聖書を聖職者が読み上げるという形でしか神の言葉を聞けませんでした。そうやって教会が独占するのみであったラテン語の聖書が、ドイツ語に翻訳・刊行され、活版印刷によって安価な価格で民衆に頒布されて読めるようになってしまいます。活版印刷における新約聖書の普及、さらにルターは自分の著作を刊行することによって、自らの主張を民衆に広げることに成功しました。当時1500万人いた神聖ローマ帝国の大半の人々は読み書きができませんでした。そんな時代にも関わらず、ルターの聖書は100万部印刷され、大ベストセラーになります。活版印刷の技術がなかったらルターの思想は広がることはなく、宗教改革も起こり得ませんでした。(この辺の活版印刷と宗教への影響についてはぜひ東京都文京区にある印刷博物館に行ってほしいんですけど……)

フォドラの書物が高価であることは、アッシュとの支援会話からも伺えます。

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薬代に匹敵するくらい高い本代。

このような本の高価さから、フォドラに活版印刷は普及しておらず、恐らくこれらの本も手写本だと思われます。アビス書庫の本も手書きと思われるものが多く見られました。

レアに先見の明があったのかはわかりませんが、セイロス教の権威を守るという意味で活版印刷を潰すということは極めて効果的であったと思われます。ツィリルに識字を教えていないのも恐らく意図的なのかもしれません。

レアの意図はともかく、そもそもレアが潰した「活版印刷を開発したのは誰か」という疑問が残ります。

 

4.医学

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「遺体を辱める行為が死者への冒涜」

「解剖がなくとも白魔法の発展により解決」

「信仰を必要とする白魔法に医学が勝ることがあれば教団の地位が揺らぐ」

どう見てもこれは、レア自ら施した禁忌がバレるのを防ぐためですよね。他人には医学を禁止しながら、自分はゴリゴリにやっているという……。

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↑こんなん胸切り開かれたら一発でバレるわ

医学と魔道の治療の違いについては、白雲の章、赤狼の節の散策時のマヌエラも言っています。

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ここで語られる医学についても、解剖についての言及はありません。対して白魔法は、人間の素の治癒力を高めるような効能があることがわかります。外からのウイルスや先天的な病気は治せなさそうですね。

 

以上、4点が「フォドラの虫大全」によって、抹消されていたことが明らかになった「科学技術」です。これらを統制したレアの目的は、セイロス教の浸透だとしてそれ以前に、「望遠鏡」「石油」「活版印刷」「医学」これらを元々作っていたのは誰だ、という話。それは果たしてフォドラ人なのでしょうか。

さてここで、闇に蠢く者たちの拠点「シャンバラ」ついての黒鷲学級と金鹿学級の反応を引用します。

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「古い感じなのに新しい感じ」「フォドラの様式とは違う」「見たことがない」「暮らしたくない」など散々な言われようです。

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↑シャンバラにある「△」の中の文字(他にも明確なロシア語とかがあるらしいですが未確認です。そのうちシャンバラに潜ります)

フォドラの人々には、まるで見覚えのない文明がシャンバラには確立しているようです。そして闇に蠢く者の専売特許といえば、「闇魔法」「光の杭」ですが、これらについてよ掘り下げたいと思います。

まず闇魔法について。そもそもの魔法陣が違います。

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↑闇魔法

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↑黒魔法

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↑白魔法

信仰を基にした、黒魔法と白魔法の魔法陣はソティスが「天刻の拍動」を使う時に空中に出た魔法陣に酷似しています。中央にある炎の紋章が無いくらい……。前述したように、信仰によって白魔法が使えるということは、ソティスへの信仰、もしくは血がそのまま白魔法や黒魔法を使える力生み出している可能性があります。

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対して闇魔法は、そもそも空中ではなく地面に生成されると共に、魔法陣の形もまるで違ったものとなっています。そして、ダークビショッブ・ダークメイジ等の闇魔法試験パスを使わずに闇魔法をレベルアップで覚えるキャラクターは「闇に蠢く者陣営」の他、「ヒューベルト」「イエリッツア」「エーデルガルト」「リシテア」「ハピ」の5人のみとなっています。この中で、エーデルガルトとリシテアとハピの3人は作中で「人体実験されました……」と描かれているので、闇に蠢く者たちは人為的に実験を行うことで闇魔法を使わせることができるのでしょう。逆に、闇に蠢く者たちは黒魔法や白魔法を使いません。(蒼月の章でアランデル公として対峙するタレスを除く)ソティスの加護が白魔法や黒魔法に必要ならば、その血を持たない闇に蠢く者たちが白魔法と黒魔法を使えないのも納得がいきます。

すると、ヒューベルトとイエリッツアも人体実験されたということでしょうか。否、そういう記述はなく、恐らく闇に蠢く者からの技術提供程度に収まっているのではないでしょうか。押し付けられた闇魔法というよりは、利害関係の一致の上で闇に蠢く者の技術である、闇魔法を使わせてもらっているという印象を受けます。(ヒューベルトは闇に蠢く者のことめちゃくちゃ嫌いですし)

ここで銀雪の章と翠風の章の帝都アンヴァル戦後にのみもらえる、ヒューベルトの手紙に着目します。

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「魔道」を感知してシャンバラを割り出していた余りにも有能すぎるヒューベルト。

この光の杭、結局は教団でも帝国でもなく、闇に蠢く者たちの仕業ということは明らかなのですが、その原理はかなり謎めいた物体です。闇魔法を原動力として動いているのはシャンバラでのタレスの光の杭大量発動からもわかりますでが、じゃあ、そもそも闇魔法って何だ、という話です。光の杭の発する魔道の感知自体は、ヒューベルトだけでなくどうやらイエリッツアも可能である様子。

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よく見ると死神騎士の持つ三日月の鎌には、闇に蠢く者のマークがあります。

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これは飛来する光の杭を指差しで教えてくれる親切なイエリッツア。

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光の杭自体にも、闇に蠢く者のマークが存在しています。

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光の杭、と称される割に「ゴリゴリの鉄製か?」と思わせるような強固な光の杭そのものの造り、そして無残に破壊されたアリアンロッドの都市の光景にどこか既視感があるような気がします。

これ、ミサイルを使った都市破壊じゃないか?

もし「光の杭≒ミサイル」だと仮定した場合、ヒューベルトの光の杭逆探知にも理由が生まれます。ヒューベルトが行ったのは闇魔道の感知、つまりはレーダーでの逆探知ではないでしょうか。

Dr.STONEというWJ連載中の漫画(人類全員が石化して3700年が経過した世界で科学技術と人類の復興を目指す物語)があるんですけども……

Dr.STONE 11 (ジャンプコミックス)

Dr.STONE 11 (ジャンプコミックス)

  • 作者:Boichi
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2019/07/04
  • メディア: コミック
 

Dr.STONE11巻の漫画内に、GPSとレーダーの開発についての描写があります。曰く、GPSについては、人工衛星もしくは地上の巨大灯台から強力電波を垂れ流すことで位置測定することができ、またレーダーについては、真空管に通した水晶に電圧をかけることで見えない敵を感知することができるそうです。詳しい仕組みについては正直門外漢なのでわからないのですが、ちゃんとした現代文明が確立されていないDr.STONEのような滅びた世界でもGPSやレーダーは作成可能であるらしいのです。つまり、ヒューベルトが執念によりレーダーを開発して、エンジニアヒューベルトとして闇に蠢く者の根城を突き止めた……という可能性が無きにしもあらず。

これら含めての憶測で申し訳ないですが、「闇魔法」が現代の「科学技術」に匹敵するものを発展させたもので、それらを利用し暗躍しているのが、闇に蠢く者たちなのではないでしょうか。かつて「月」という暦を使い、「望遠鏡」「石油」「活版印刷」「医学」らを駆使した現代人に極めて近い「闇に蠢く者」という人種が、フォドラの地底シャンバラで暮らし、女神への復讐を誓っているのではないでしょうか。

 

闇に蠢く者とソティス

さて、そこで闇に蠢く者の動機についてです。闇に蠢く者の遺恨は、レアではなくソティスに向けられています。レアやセテスの眷属たちは闇に蠢く者についての事情を殆ど知りません。

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また、タレスたちはソティスのことを凶星と呼び、フォドラ人のことをと呼びます。

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絶妙に噛み合っていないクロードとタレスの会話。

ここで、白雲の章、赤き谷ザナドについての記述を思い返してみます。

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レアが語る赤き谷ザナドに降り立った女神ソティスの伝説と、明らかな既視感がある女神ソティス本人。この赤き谷ザナドについては、ソティスの外伝「赤き谷の冒険譚」でも再来することになります。

ここの赤き谷ザナドの課題出撃後、級長ごとに言うことがまるで違うのですが、エーデルガルトとクロードの発言がそれぞれ興味深いです。

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ここの選択肢については「すでに滅んだ民族」「まさか……地底人?」のどちらかで好感度が上がります。「気が遠くなるほど太古に存在し、そして滅んだ」という言い方は、シャンバラを彷彿とさせます。恐らく、この赤き谷ザナドでは、かつて闇に蠢く者たちが暮らしていたのではないでしょうか。

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また、クロードは赤き谷の「」について着目しています。クロードはここで連想される赤いものについては思い当たりません。しかし、ここで思い出してほしいのが、白雲の章の守護の節でザラスから生還した、ベレト(ベレス)とソティスの合体シーンです。

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f:id:sh20230101:20200216220626j:image降り立つ赤い凶星。

「星」とありますが、ソティスはそもそもがシリウスを意味する言葉です。(ソティス暦が恒星シリウスを基にして制定されたことは前述しました)

作中でのソティスとシリウスの因果性はシリウスを見上げて」という曲名にも顕著です。イベントだとちょうど「赤き谷の記憶」などのソティス関連の掘り下げの時に流れるBGMです。(このメロディのそもそもがナバテアの歌のアレンジではあるのですが……)

主が天から見下ろしていたという事実も、「ソティス=シリウス」と仮定すれば辻褄が合います。

また、現実のシリウスについて、現在のシリウスは白色の星ですが、かつて地球上で赤く観測されていたという伝承も残されています。赤いシリウスについては本当に様々な諸説があり、その原因を断定できません。が、赤いシリウスがあったかもしれないという現実の伝承から着想を得て「赤い凶星=シリウス=ソティス」というモチーフが風花雪月では狙われているのかもしれません。

また、ザナドが赤き谷である由来として、翠風の章のレアがネメシス戦での「血」を連想して「赤き谷」になったのだと言っていますが、

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もちろんレアはネメシスを悪だと主張するので、セイロス教が広く布教した結果、伝承として「血=赤」だと伝わったのは勿論あるとは思います。が、それ以前に赤い凶星ソティスが降り立ったため、赤き谷となったのではないでしょうか。そもそもザナドに暮らしていたのは、闇に蠢く者が先なのでは?

ここでアビス書庫の「世界破滅伝奇」を参照します。

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この書物は、闇に蠢く者側の手記だと思われます。ティニスで目覚めた「神ならざるもの」に対抗するため、光の柱を地に立て、地の底(シャンバラ)へと逃げ、それでもなお復讐を誓う人種といえば、闇に蠢く者以外には考えづらいです。この書物における「人」とは、フォドラ人ではなく、闇に蠢く者のことを指し示しています。光の杭(ミサイル)を打てる、闇魔法(科学技術)を使える人間です。ならば、闇に蠢くものを追いやった、「神ならざるもの」と「獣」は果たして何なのか。

ティニスは、エジプト初代王朝の首都の名前と同じです。そして、そのエジプトではシリウスを目印にして暦が刻まれていました。これは現実の話であり、風花雪月のゲーム内に適応される設定ではありませんが、恐らく意図的につけられています。

つまり、それまでザナドで近代文明を築いてきていた闇に蠢く者たちは、突如ザナド(ティニス)に降り立った赤い凶星ソティス(神ならざるもの)によって報復されて、地の底に追いやられ、そこからの復讐を図っているのではないか?

 

ここで、ファイアーエムブレム風花雪月冒頭の「復讐」 のムービーをぜひ見返してみてください。特に後半部分です。

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「お母様……」と呟くレアの手には、紋章石の埋まった天帝の剣(ソティスの心臓と骨)が握られています。ここから突然、タイムスリップのような演出が入ります。風花雪月におけるタイムスリップとは天刻の拍動であり、拍動、つまりは心臓(=炎の紋章石)が存在してる場合に使えるのでしょう。だからベレト(ベレス)も天刻の拍動が使用可能であったと思われます。

↓猿(?)のようなシルエット
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↓ザナドに降り立つソティスらしき姿
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↓帆船
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↓フォドラの世界観に似つかわしくない近代的な高層ビル群
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その全ては闇に包まれ、目覚めてこちらに呼びかけるソティス。
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「おぬし そこで何をしておる?」

このムービーをそのまま受け取ると、この回想はソティスの記憶であるということでしょうか。天帝の剣であるソティスが見た夢、それは類人猿から進化した人類がいて、その人類はソティスと邂逅し、帆船を開発し、高層ビル群を建設している。しかし、それらは現在のフォドラには既に失われている技術です。

さて、このムービーにおける「復讐」とは、誰の何に対しての復讐だったのか。金鹿学級を受け持ち翠風の章をクリアして、「なるほど冒頭のムービーはネメシスとセイロスの因縁と互いの復讐の話だったのか」と納得する、そのネメシスvsセイロスの構造自体が、そもそもの代理戦争だったのではないだろうか。

科学技術を駆使する極めて我々現代人に近い存在を、凶星ソティスが一度滅ぼした。(滅ぼした理由は、「世界人類伝奇」にもあるように「命の血を流しすぎたから」なのかもしれない。ミサイルが現存するのなら、ソティスが怒ったのは恐らく戦争に対してだろう)そしてソティスの血を繋いだ、紋章をもつ「獣」たちが再度支配した世界が、風花雪月におけるフォドラである。

高層ビル群をつくれるまでに見事発展していた文明を滅ぼしたソティスという神ならざるものに対する憎しみ、つまり「闇に蠢く者からソティスに対する復讐、もしくはソティスから闇に蠢く者への復讐」が、この冒頭の「復讐」ムービーでは暗示されていたのではないでしょうか。

「おぬし そこで何をしておる?」というソティスからの冒頭のメッセージも、ある種、闇に蠢く者に似た我々に向けられたメタ的なメッセージとして受け取ることも可能ではないでしょうか。以下、ソティスとの支援Sです。

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こちら↑が紅花の章。それ以外の章が↓

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天帝の剣を作ってネメシスに手渡したのは闇に蠢く者であるし、ソティスの骨と心臓から武器をつくることはできが、心、即ち魂まではつくれなかった。勿論これはレアとも同等ですが、「死者の魂はつくれない」という点で、闇に蠢く者と我々現代人の類似点を見出してしまいます。たとえ心臓が砕かれても、ソティスの魂は心の中に存在しているのです。

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闇に蠢く者≠現代人ではあるし、プレイヤー≠ベレト(ベレス)ではありますが、かつて科学技術に溺れた闇に蠢く者を見限ったはずのソティスと、その科学技術の世界を知っているプレイヤーが動かすキャラクターが共にあるというエンドが存在することは、ある種、神と人間との緩やかな融和なのかもしれません。

風花雪月というゲームに絶対的なひとつの救いはありませんが、闇に蠢く者を現代人のようなものと仮定した場合でも、ソティスのような神の理不尽が降り注ぐ「優しくない世界」「助け合って生きていくしぶとく、強かな人間」の姿を描いているように思えます。

この風花雪月の主題は現実世界にも共通するところがあり、そんな現実に近い無情さや理不尽をリアルに描いているからこそ、ファイアーエムブレム風花雪月はひどく魅力的に映るのかもしれません。

「闇に蠢く者」が我々に近しい者であるとして、我々がこうやって生きる理不尽な現実が、ある意味での風花雪月の5つ目のルートなのかもしれませんね。